2006年12月29日

『酒仙』南條竹則

[ Book]

没落した名家の末裔である「暮葉左近」はその酒徳の高さを見込んで仙人に命を助けられ,救世主である「徳利真人」として復活する.
救世主として聖酒変換をなすべく,飲んだくれて酒徳を高める日々だったが,その前に魔酒を醸す「三島業造」が現れて...

第5回日本ファンタジー大賞優秀賞受賞作で,ネットで見かけた書評でえらく高く評価されていたので読んでみた.

正直なところ,ストーリー的には,不自然というか,脈絡がない(必然性がない)エピソードもたくさんあって,読み終わっても消化不良なところが多くあるものの...
とにかく酒が美味そう! 酒の肴が旨そう! という作品.

読んでいても所々で思ったのだが,巻末の解説を読んでみると,この作品,色々な古典作品を踏まえたうえで書かれているようだ.
いくつかは私にでも分かったが,おそらく私が知らない古典作品を下敷きにした箇所があって,それが脈絡がないエピソードがあるように感じられた理由だろう.

この作品,全編を通して酒を飲んで陽気に楽しくすることの効用が謳われているので,酒飲みの方にはオススメ.
また,酒の肴が妙に旨そうなので,そういうのが好きな人にもいいだろう.
ただ,小説としての筋書きとかを重視する人には物足りないかも.