2007年01月12日

『脳が「生きがい」を感じるとき』グレゴリー・バーンズ

[ Book]

脳科学の研究成果を元に,人が「生きがい」を感じるのはどのようなときかを明らかにした本.
ネットの書評で見かけて面白そうだったのでチェックしていたところ,松山市立中央図書館に入荷(?)したので借りてきた.

この本では「生きがい」=満足感であり,この手の感覚を得られるのはドーパミンなどの脳内物質が関係しているというのがよく知られた説.
しかし,この本によると,ドーパミン自体は嬉しいときだけでなく,苦痛などのストレスを受けたときにも分泌されており,ドーパミン=満足感というわけではないらしい.
そこで,この本の著者(脳科学者)はMRIの一種を使った実験によって,満足感には線条体という脳の器官が関係していると主張している.
で,ここまでならば単なる脳科学の本なのだが,ここからがこの本の見せ所.

どういうときに満足感を感じるか?ということで,著者は料理やSMクラブ,ウルトラマラソン,アイスランドでの神秘体験,セックスと,さまざまなことを体験したり,その道の専門家や実践者に話を聞きに行ったりする.
そういう場合でも脳科学の知見に基づく説明や学説の紹介があるので,単なるエッセイではないのだが,最後の2章だけを読むと,「なんなんだ,この本は?」と思ってしまうかも.

ちなみに,線条体が満足感を感じるのは,予想できないこと=「新しいこと」を経験するときなのだが,その「新しいこと」は一度経験してしまうと新しいことではなくなってしまう(「快楽の踏み車」というやつ).
うーん,やっぱり「挑戦する心」はいつまでも持ち続けないといけないんだなあ.