2007年02月15日

『ボトルネック』米澤穂信

[ Book]

2年前に転落死した恋人を弔うため,東尋坊を訪れた「嵯峨野リョウ」だが,眩暈のために崖から落ちてしまう.
しかし,気がついてみると,リョウは自宅のある金沢市の見慣れた公園にいた.釈然としないものを感じつつ,自宅に戻ってみると,そこには生まれなかったはずの姉「嵯峨野サキ」がいた.
どうやら,この世界はサキの代わりに自分が生まれなかった世界らしい...

最近のイチオシ作家である米澤穂信の最新作.
ほろ苦い青春ミステリが得意な作者であり,本作の主要登場人物も高校生だし,描かれているテーマも青春物にふさわしい.
ただし,この作品,ほろ苦い作品ではなくて,

激苦!!!


読む前から各方面で「読後の精神的ダメージが大きな作品」と評価されていることは知っていたので,それなりに構えて読んでいたのだが,こうくるとは思わなかった.
なんというか,ある種の精神的傾向を持っている人が状態の悪いときに読んでしまうと,取り返しのつかないことをしてしまいそうなくらいの苦さ.

なのに,表表紙のイラストは青空に崖(東尋坊?),裏表紙のイラストはオレンジ色のスクーターと,かなり爽やか系.ある意味で詐欺に近いものがある気がするのは私だけだろうか?

4章のラストから終章にかけての盛り上がり,そして最後の1行は強烈なので,読んで損はないと思うのだが,精神状態の良いときに読んだほうがいいだろうな.


・おまけ
作中に出てくる川守少年って,やっぱりこれなのかなあ?