2007年07月19日

M.C.エッシャー展@愛媛県美術館

[ Experience]

Esher.jpg

愛媛県美術館にM.C.エッシャー展を見に行ってきた.
エッシャーといえば,現実にはあり得ない構造の建物(物見の塔)や水路()の絵が有名.
で,そういう不思議な感じのする絵は個人的に好きなので,楽しみにしていた.

で,実際に展示を見てみると,あり得ない構造系の作品というのはエッシャーの作品の中でも晩年の作品っぽい.

年代順に展示されていたのだと思うのだが,最初は風景画(版画やリトグラフ)が多い.
しかし,エッシャーの作品だという先入観のためか,あるいは版画やリトグラフで書かれた(作られた?)白黒の風景画を見慣れていないためか,どれも普通の風景画とは違って,どこか不思議な感じを受けた.
いくつかの作品は実際の風景の写真と共に展示されているのだが,何だか違ってるよなあ.

で,半ばくらいからちょっと不思議な感じの作品が増えてくる.
水や鏡を使って複数の世界を同時に描く作品や,平面の正則分割と呼ばれる同じパターンの繰り返しがいつの間にか違うパターンに変わっているタイプの作品,そして現実にはあり得ない構造で循環する何かを描いている作品.

見ていて気に入ったのは

ちょっとマグリットの絵っぽい「静物と街路」,
メビウスの環を描いた「騎手」,
立体と平面を循環する「爬虫類」,
謎の空間っぽい「偏平虫類」,
エッシャーの作品としては有名すぎる「物見の塔」と「滝」,

かな.
どうやら,循環系や異次元空間系の絵が好きなようで,逆に平面の正則分割系の絵はあまり好きではないようだ.
理由を考えてみたのだが,どうやらパターンを一度把握してしまうと,それ以降は見ていても新しい発見がないのが理由っぽい.
ちなみに異次元空間系の絵は,パターンを把握するのに視点の移動が必要なのだが,私がこれがあまりうまくないので,視点を変えながら見ているうちに頭の中がグルグルしてしまった.

あと,平面の正則分割系の絵を見ていて,

「細かい手作業が必要だけど,今だったらパソコンで簡単にできてしまいそうだなあ」

と思っていたら,実際に,展示場の出口にPCが置いてあって,簡単な操作で平面の正則分割系の絵を作れるようだ.

同じく展示場の出口には,現実世界ではあり得ない構造を描いた「上昇と下降」の立体模型が置いてあって,これが面白かった.
指示されたとおりに見てみると,本当に「上昇と下降」が再現されており,思わず模型の構造を調べてしまった.
この立体模型は愛媛総合科学博物館から借りてきているらしいのだが,こういう美術館や博物館の連携展示はもっとやるべきだと思う.


今回は時間があまりなくて,展示場内で上映されていたビデオを見れなかったのだが,それ以外に販売コーナーで上映していたDVDが面白そうだった.
このDVDの映像もハイビジョンで上映しているっぽいので,もっと時間があるときに見に行くべきだったと後悔してしまった.

なお,作品保護のためなのか,やたらめったら冷房が効いていたので,上着とかを持っていった方がいいかもしれない.カウンターに申し出るとストールを貸してくれるサービスもあるらしいけど.