2007年07月18日

『ひらきこもりのすすめ 2.0』渡辺浩弐

[ Book]

図書館の貸出枠が余っていたので,何か適当な本はないかと思って棚を見ていたところ,「ひきこもりのすすめ」というタイトルに惹かれて借りた本.
松山市立中央図書館所蔵.

しかし,タイトルを見間違っていたようで,内容は「ひきこもり」ではなく「『ひらき』こもり」を薦めるものだった.
その「ひらきこもり」というのは,部屋に引きこもりながら好きなことをやって,ネットを通じて好きなことについての情報発信をすることで,世界に対して開かれよう,というもの.

著者は以前,ゲーム番組の司会というかコメンテーターをしていた人で,現在は小説家としても活躍しているらしい(作品を読んだことはないが,よく映像化されている).
そんな著者だが,昔は学校にも行かずひたすらゲームばかりをしており,ゲーム好きを突き詰めていくことで現在のポジションを獲得したという経験をもっている.
そこから,ひたすら好きなことをすればいいんだ! 現在は好きなことを仕事にするのに絶好の環境が整っているんだ!と主張している.

うーん,ちょっとポジティブすぎるような気が...
確かに一昔に比べると,自己主張(≒好きなこと あるいは 作品)を現金化するための手段というのは確実に増えているんだけど,それで生活が成り立つくらいのお金を稼ぐのは至難の業だと思う.
特に著者の提唱する「ひらきこもり」が増えれば増えるほど,存在する自己主張の平均希少性は小さくなるので,平均収入も小さくなるだろうしなあ.

まあ,これはあくまでも平均の話であって,中には超ヒット作を作り上げて,巨額の収入を得る人もいることは確か.でも,ちょっと下を見ると死屍累々なんじゃないのかな.

そういうことを考えると,学生さんに対して「好きなことを仕事にしよう!」とは,ちょっと無責任すぎて私には言えないというのが正直なところ.