2007年09月23日

『ザ・ギバー』ロイス・ローリー

[ Book]

コミュニティーに暮らす少年「ジョーナス」は,自らの職業を決定する十二歳の儀式で『記憶を受けつぐ者』に選ばれる.
コミュニティーに一人だけの存在である『記憶を伝える者』との対話と記憶の伝授を通じて,彼らはコミュニティーのあり方に疑問を抱くようになり...

同僚の奥様に貸していただいた本.
表紙がひげ面の老人の写真で,副題が「記憶を伝える者」だったので,読むまでは実在するネイティブアメリカンの話だと思っていたのだが,実は未来社会を舞台にしたSFっぽい話だった.

舞台になっている未来社会というのが,職業や家族がコミュニティーの上層部で決定される管理社会であり,平穏な社会が実現されている一種のユートピア.
読み始めたときは,その管理っぷりがちょっと鼻につくなあという程度で,話のカギとなる『リリース』についてもその正体はなんとなく分かっていたのだが,管理社会を実現するための秘密が明らかになったときは衝撃だった.うーん,これはまったく気がつかなかったぞ.

最後のほうの展開はかなり賛否が分かれるところだろう.
個人的には「このラストって『○○』(ある童話)?」だった.そこに至るまでは良かったんだけどなあ.

で,感想を書くにあたってネットで検索してみたところ,この作品の映画化が計画されているらしい.
あの衝撃的な秘密を一体どうやって映像化するつもりなんだろう?

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