京都の「芳蓮堂」という骨董屋でアルバイトをしている大学生の「武藤」は店主である「ナツメ」の使いで,「天城」という人物の屋敷に通うことになる.
ある日,壊してしまった骨董品の代わりを手に入れるため,「天城」の元を訪れた「武藤」は,その代償を求められるのだが...
このところ,注目されている森見登美彦の作品.この作者の本を読むのはこれが初めて.
三津浜図書館所蔵.
各方面で絶賛されている『夜は短し歩けよ乙女』がコメディっぽいらしいので,そういう作風だと思っていたのだが...
怖いよー
世間の相場的にはそれほど怖くないのかもしれないが,怖いのは苦手&夜中に読んでいた&心構えができていなかったので,表題作の短編はビクビクしながら読んでいた.
スプラッタな怖さではなく,じっとりした「湿度の高い怖さ」というやつか.
この本は4本の短編で構成された短編集なのだが,どの短編も舞台は京都.
4本のうち3本には「芳蓮堂」が登場するのだが,3本目の「魔」という短編にだけは骨董屋が登場しない.
全体を通じて登場しているのは「胴の長いケモノ」だけなんだけど,これをもって連作短編集とは言いにくいよなあ.1話と3話と4話では設定が微妙に違ってるし...
あと,読んでいて混乱したのだが,時代設定がよく分からなかった.
京都が舞台で,登場人物の多くが古典的な大学生のせいか,読み始めは昭和40年代くらいを想定して読んでいたのだが,大阪城ホールや携帯電話がでてくるので,実は現在の話として書かれているのだろうか.
全体として不思議で濃密な感じがする本だったなあ.
ただ,この作者の本としてはちょっと異色らしいので,評価は他の本を読んでからにしよう.
コメント (2)
『夜は短し歩けよ乙女』はいいですよ、オススメです。コメディと言えばコメディですが、ちゃんとしんみりする部分もあったりして。
作者は異なりますが『鴨川ホルモー』をもっと濃くした感じかな。
投稿者: ko | 2007年12月11日 23:06
それは面白そうですね.さっそく図書館で予約してみましたが,1年前の本なのに予約がいっぱいですね.
順番が回ってくるまでに,話がつながっているらしい『四畳半神話体系』を先に読んでおかねば.
投稿者: さい | 2007年12月13日 00:41