2004年05月18日

『情報って何だろう』春木良且

[ Book]

情報リテラシーで情報化と経営についての講義をしなくてはいけないので,そのネタ本にでもなるかと思って読んでみた.
これは岩波書店の新書なのだが,同じ新書でもジュニア新書.ジュニア新書というだけで大学生は読もうとしないかもしれないが,ジュニア新書が想定している読者は「人生の出発点」に立っている「若い世代」だそうなので,別に大学生が読んでもおかしくはない.大学生協に並んでたのがその証拠(なのか?).

肝心の中身だが,これが結構良くまとまっている.情報理論から始まってコンピュータの原理,インターネットの基礎知識といった工学的なところから,社会とマスメディアの関係やナチスの情報操作,企業における情報システムの役割といった社会科学的なものまで,幅広い内容を扱っている.

情報技術や情報化をある程度勉強した人にとっては既に知っていることも多々あるだろうが,初学者が幅広い知識を得るにはちょうどいいのではないだろうか.著作権や個人情報保護といった法律関連まで押さえてあればもっと良かったのだろうが,そこまで望むのは贅沢か.

で,本来の目的である講義のネタ本になったかというと,ちょっと微妙.本の内容がどうこうというよりも,講義のテーマがまだ絞りきれていないというのが最大のネックだよなあ...