2004年09月19日

『骨音』石田衣良

[ Book]

池袋ウエストゲートパーク(IWGP)のシリーズ3冊目(外伝を入れると4冊目).
ハードカバーでは4冊目が既に出ているが,このシリーズは文庫で読むことにしているので,自分的には最新刊.

雑誌に発表された短編3つと書き下ろしの中編1つの計4つの話が収められている.
どれも面白いんだけど,短編の方が面白いかな.1冊目もそうだったけど,中編になるとスケールが中途半端に大きくなってしまって,IWGP特有の良さが失われてしまうような感じがする.

ということで,いつものように気に入った箇所の引用を.

 この街のガキ千人に新しい仕事を作れるのなら、おれは一年間ただ働きしたってへっちゃらだ。だってあたりまえだろ。新しい仕事をつくることは、新しい希望をつくることだ。
 それはこの国の大人たちがずっと放りだしてきた問題だった。
(From キミドリの神様)


うちは貧乏でたいへんだったしさ、世界が変わらないなら、自分の方を変えるしかないじゃん。

「おれは強くない。毎日なんとか踏ん張るだけで必死だ。ここにいるGボーイズの王様だって強くなんかない」
 あれはタカシに目をやると、やつはうなずいて見つめ返してきた。
「だからエディ、おまえも自分の足で立て。不幸を誰かのせいにするな。おまえが自分の足で歩けば、同じ誰かが助けてくれる。おまえが歩くなら、おれも一緒に歩くよ」
(From 西口ミッドサマー狂乱)