2004年11月11日

『三千世界の鴉を殺し 9巻&10巻』津守時生

[ Book]

祝・新刊同時2冊刊行記念ということで,今回は『三千世界の鴉を殺し』を.

現在の私の成立に大きな影響を与えた本というのがとりあえず3冊あるのだが,そのうちの一つが『喪神の碑』というシリーズ小説(だから正確には2冊+全5冊のシリーズ=7冊か).
ジャンルとしてはスペースオペラ,つまり娯楽色の強いSFで,「その手の小説がどうして大きな影響を与えるんだ?」という疑問も湧くだろうし,内容を知っている人からすれば「どんな影響を受けたんだ(笑)?」となるだろうけど,実際に影響を受けているんだから仕方がない.

で,この『三千世界の鴉を殺し』は『喪神の碑』と同じ世界を舞台にした話で,内容的にもかなり重なっているところから,ある意味では続編といえなくもないのだが,ジャンルが全然違っている.なんと「お笑い軍隊物 ボー○ズ○ブ風味」だ(作者曰く「ガイ○ラ○」らしいが).第1巻を買って来て読んだときの衝撃は今でも覚えている.あまりに面白くて,笑いのために読み続けるのが困難になったくらいだ.
世間的にもその面白さが評価されたのか,今回の新刊で巻数も2桁となり,この作品は作者の代表作になりつつある.

しかし,今回の新刊も面白かったことは面白かったのだが,個人的にはキャラ萌えよりもストーリー重視なので,もっとストーリーに力を入れてもらいたいなあという気がしないでもない.これはこれで面白いんだけど,ちょっとパワーダウン気味かなあ.

10巻のあとがきで,読者の年齢層が高めであることに危機感を覚え,努力をした結果,若い読者にも読んでもらえるようになったということを書いてあるのだが,年齢層を高めに設定した話も別途書いてもらいたい,というのはワガママだろうか.
そもそも,この作者の人気が出てきたのは,私がちょっと受け付けなかったシリーズ(おそらくこれが努力した結果)からだから,きっと私の好みのほうが少数派なんだろうなあ.
でも,『喪神の碑』や『カラワンギ・サーガラ』でファンになった人の中には,このシリーズは受け付けないという人も多いような... 早川書房あたりから,もう少し年齢の高い読者層を相手にした新シリーズとか出してくれないかなあ...

追伸.
影響を受けたといっても,ホ○に目覚めたとかいうのではないことはハッキリさせておこう,念のため.