2005年02月15日

『ななつのこ』加納朋子

[ Book]

加納朋子の作品は以前から読もうと思っていたのだがなかなか読む機会がなく,今まで来ていた.先日,どこかのBlogで三部作がまとめて紹介されていたので,まとめて松山市立中央図書館で借りてきた.

短大生の主人公が,『ななつのこ』という児童文学(なのか?)に感動し,その作家に出したファンレターの中に書いた日常生活で直面した謎が,作家からの返事の中で解明されるという形式で進む話.
全7話の連作短編になっているのだが,その短編の中で「作中作としての『ななつのこ』」が紹介されるので,全体としては7+7の14話の話(謎)が出てくる.しかも,現実世界(小説世界?)の7話もつながって一つの話を形成しているので(連作短編集の醍醐味!),全体としては7(短編)+7(作中作)+1(連作短編集の全体)の計15話の話が楽しめるという非常にお得な作品.

本文中に「作中作としての『ななつのこ』」(ややこしいなあ)の表紙の描写が出てくるのだが,実物の『ななつのこ』の表紙もそれを意識しているらしい.
私が図書館で借りたのはハードカバーの方なのだが,これが「作中作としての『ななつのこ』」の表紙の描写(主人公が本を手に取るきっかけになるくらい良いらしい)から受けるイメージとは165度くらい違ったものになっている.はっきり言って,ホラーな表紙である.
しかも,第1話がちょっとエグイ話なため,夜中に読んでいた私は「ひえぇぇぇぇぇ!」となってしまった.
幸いなことにエグイ話は最初の話だけで,あとは良い感じの話ばかりなので,興味を持った方ははぜひ読んで欲しい.オススメ.

日常生活の謎で女子大生(短大生だが)が主人公というと,北村薫の「円紫師匠と私」シリーズを思い出す方もいると思うが(図書館で借りた後,文庫で買ってしまったくらい面白い),北村薫の方の「私」が優等生っぽいのに対して,こちらの主人公である「駒子」はもっとリアリティがあるというか親しみやすい感じがするかな.


おまけ その1
問題の表紙だが,文庫版の方はかなり作中作のイメージに近くなっている.作中策の表紙と違って,なぜか隣に女の子がいたりするのだが...

おまけ その2
この本は図書館の書庫に入っていたのだが,それを出してもらうためには書類を書かなければならない.とてつもなく面倒くさい.
学生時代に通っていた大阪市の図書館では端末で検索したら,ボタン一つでレシートみたいなのが印刷されたんだが,松山市でも導入してくれないかなあ.