2005年02月20日

『夏のロケット』川端裕人

[ Book]

新聞記者の「ぼく」は過激派が起こしたミサイル爆発事故の現場写真に,高校時代に所属していた天文部ロケット班で作った部品を見つける.
久しぶりに昔の仲間(今では商社マン,ロックスター,研究者として活躍)に連絡を取ってみると,彼らは自分たちの力だけでロケットを打ち上げるプロジェクトを行っていた.
「ぼく」は爆発事故との関係を探るという名目でプロジェクトに参加するのだが...

以前紹介した『The S.O.U.P.』『リスクテイカー』の作者のデビュー作.
専門知識(今回はロケットの構造や開発史について)をキッチリ押さえながらストーリーを展開していくという作風はデビュー作からだったようだ.
ストーリーは面白いし,読みながら専門知識も得られるという点では『リスクテイカー』と同じなのだが,本作で得られるロケット関連の知識は日常生活での使い道が見当たらないので(まあ,『リスクテイカー』のデリバティブ取引についての知識も日常生活では使えないんだけど),お得感はちょっと下がるかな.