2005年05月12日

『約束』石田衣良

[ Book]

身近な人の死や病によって喪失感や苦しみに捕われた人たちが,そこから立ち上がっていくさまを描いた短編集.
内容および形式的に『スローグッドバイ』や『1ポンドの悲しみ』と同じ系統に属している感じ.私はこれらが両方とも好きなので,図書館で遭遇するのを首を長くして待っていたのだが,先日ブックオフで見かけたので購入してきた.

で,内容のほうなのだが,amazonのレビューに「甘く優しい」けど内容が軽くてプロットが安直という批評があったけど,確かにその傾向が強いと思う.全体的に淡々としているし,読んでいてストーリー展開が予想できてしまうのだ.

ネットで感想を検索してみたところ,「泣ける」「オススメ」という高評価の意見が多数ある一方,手厳しい意見も見られる.まあ,IWGPを期待している人が読むと絶対に期待はずれだよなあ.
個人的には「夕日に続く道」と「ハートストーン」が良かったかな,ベタだけど.

ということで気に入った箇所を引用.

「だけどな、ときには自分を折るのも大事だぞ。毎日すこしずつ負けておく。そうしておくと、最悪の事態はなんとか避けられるもんだ」
八坂源一「夕日に続く道」