2005年06月25日

『現実入門』穂村弘

[ Book]

「人生の経験値」が異常に低い著者が,人生で初めてのことにチャレンジしていくという体験記的エッセイ.
そもそも穂村弘のエッセイを読むきっかけになった本であり,作者と同じく人生の経験値が低く,世界音痴の傾向がある私としては,かなり期待の高い一冊.

献血から始まり,モデルルーム見学,占い,合コン,相撲の升席などなど,多くの人が普通に経験していることもあれば,経験したことのない人も多いんじゃないか?的なことまで,様々なことにチャレンジしており,相変わらずの視点&妄想が展開されているのだが...イマイチ物足りなかった.

これは多くのチャレンジの際に美人編集者のサクマさんが付き添っているため,妄想が一人の中で加速度的にグルグルしていくのではなく,サクマさんに対する妄想になったり,あるいは現実のサクマさんにぶつかって妄想が止まっているからだろうか.

サクマさんへの妄想それ自体や作者のダメ人間さは相変わらず面白いし,そういう意味ではネット上でも評価が高いのは頷けるんだけど,もうちょっと突き抜けたものを期待してたためか,ちょっと期待はずれだった.


おまけ その1.
予備知識なしで読むと,最後の方で「ええっ!?」となり,さらにあとがきで「???」となると思う.私も「???」になってしまい,しばらく検索してしまった.


おまけ その2.
この本は,自分が読みたいがために図書館に入っていない本を初めてリクエストしたという,記念の一冊(『スタア・バーへようこそ』も同時にしたが).
これで人生の経験値が一つ上がってしまったわけだが,記念すべき初リクエスト先の図書館は松山市立中央図書館だった.ということで松山市立中央図書館所蔵.