2005年11月07日

『敗者のゲーム』チャールズ・エリス

[ Book]

メインタイトルだけだと何の本だかわからないだろうが,副題は「なぜ資産運用に勝てないのか」.その名のとおり,資産運用の本で,個人投資家の参考書としては古典とされるくらい非常に有名な本.

以前から読みたかった本なのだが,松山市立図書館の中でも移動図書館所蔵になっている.
移動図書館所蔵の本でも現物は地下3階にあると端末では表示されるのに,借りるためには予約が必要&当日に借りられないという面倒くささを誇っていたので,今まで借りていなかった.ネット予約システムができたので,そちらで予約して借りてみた.

ずっと読みたかった本なのだが,はっきり言って流し読みしかしていない.
というのも本書の主張の大部分は「個人投資家はインデックス・ファンドを買い続けろ」だったから.

最近では村上ファンドのおかげでファンドという言葉もよく聞くようになったが,ここでいうファンドというのは投資信託のこと.
お金をファンドの主催者に預け,その主催者が代わりに資金を運用して,その成果を分配するというやつだ.
このファンド,どういう運用をするかによって成果が全然違ってくるので,お金を預ける投資家としてはどのファンドを選ぶかが重要になってくるわけだ.

しかし,こういう個別ファンドのあげる成果は市場全体に投資した場合の成果を長期的に上回ることはないとしている.
なぜなら,現在の市場の参加者のほとんどはこういう個別ファンドになってしまっており,市場全体の成果はこういう個別ファンドの成果の合計に近くなっている.
また,短期的には特定のファンドが市場全体の平均に勝つことがあったとしても,同じようなライバルの中で特定のファンドが勝ち続けることは難しいので,そういう状態は長くは続かない.

なので,個別の銘柄に投資するファンドではなく,市場全体の変動を反映するインデックス・ファンドを,それも一時期に大量に買うのではなく,少しずつ買い続けることが資産運用に勝つためのただ一つの方法だとしている.

そのほかにも運用方針の大切さとか,インフレの脅威とか,色々と書いてある.古典とされるだけあって,色々といいことが書いてはいる.
しかし,古典になっているだけあって,この手の投資の本を何冊か読んでいると知っていることばかりという問題もある.
資産形成に興味はあるが,これまでその手の本を読んだことがないという人にはいいかもしれない.