2005年12月19日

『水滸伝 替天の章』北方謙三

[ Book]

北方謙三による『水滸伝』の第二巻.松山市立中央図書館所蔵.

本巻では武松の虎退治,晁蓋ら7人による賄賂強奪と梁山泊入山というメジャーなエピソードが描かれている.

のだが,賄賂強奪と梁山泊入山はいいとしても,武松関連のエピソードが違いすぎ.
オリジナルは,武松の兄嫁が若旦那と浮気して,兄を毒殺.怒った武松が兄嫁と若旦那を殺してしまうという話で,この兄嫁と薬屋の若旦那のエピソードが『金瓶梅』になったはず.
でも,若旦那は全く出てこないし,悪女のはずの兄嫁も完全ないい人になってしまっている.まあ,これはこれで面白かったけど.

また,本巻では好漢たちの真の敵っぽい組織である「青蓮寺」が登場.
武力ではなく情報収集力と分析力で国家を内側から守る組織で,ひたすら豪快なオリジナルの『水滸伝』には絶対に出てきそうにない.
梁山泊側も青蓮寺側も特殊部隊を増設するようなので,これからはそういう特殊部隊同士の戦いも描かれるのだろうか.というか,それって忍者小説?

ちなみに前巻でもそうなのだが,本巻でも登場人物がしょっちゅう羊を食べている.
別に肉の描写が微に入り細に入りされているわけではないのだが,読んでいるうちに食べたくなってしまった.
美味しいジンギスカンが食べたいなあ...