2007年01月28日

『冷静と情熱のあいだ Rosso』江國香織

[ Book]

ミラノでアメリカ人の恋人と暮らす「あおい」.
静かで満ち足りた日々のはずなのに,かつての恋人「順正」のことが忘れられず,先に進むことができない...

辻仁成と江國香織が,登場人物の男女それぞれの視点から描いた物語のうち,女性側の物語で,やっぱり某教員の奥様に貸してもらった.

辻仁成と違い,江國香織の作品はこれまで何作か読んできたわけだが,どうも合わないような気がする今日この頃.
さて,本作はどうだったかというと...

やっぱり合わないかも

基本的なストーリーは「現在の恋人を捨てて,過去の恋人に走るかどうか」の葛藤のみ.
いや,葛藤ってほど現在の恋人に思いいれもないか...
Bluの方はそれなりに事件があったのでストーリーに起伏があったのだが,こちらはひたすら淡々と生活をしながら静かに葛藤するだけ.
ストーリーが山あり谷ありな作品が好きな私にとっては,まさに鬼門.
しかも,同じ物語を男性側から描いているBluを読んでしまっているので,色々な秘密や先の展開も知ってしまっているので,ますます...

しかも,Bluの中途半端なラストをしっかり完結させてくれるのかと思いきや...
この『冷静と情熱のあいだ』,もともとは雑誌連載で,江國香織と辻仁成が交互に書いていたものなのだが,江國香織からスタートし,辻仁成で終了したそうだ.
あの中途半端なラストが真のラストだったのか...

あちこちにRossoから読むべきだとあったのだが,Rossoを読んでからBluを読んだほうが確かにいいと思う.
でも,一番いいのは連載と同じく,RossoとBluを交互に読むことなんだろうな.