2007年04月11日

『紙魚家崩壊』北村薫

[ Book]

北村薫の短編集.
9つの短編が収められており,同じシリーズのものも2つずつあるが,基本的には全部違う話.
何の予備知識もなしで読み始めたので,いつものような日常の謎系か,きれいな話の短編集だと思っていたら,期待通りの日常の謎系の話から,思ってもみなかったサイコホラー系の話まで,かなりバラエティに富んだ短編集だった.

松山市立中央図書館所蔵.

・「溶けていく」
軽い気持ちで読み始めたら,いきなりサイコホラー.
この手の壊れていく話は苦手なんだけど,北村薫ってこういう話も書くんだ.

・「紙魚家崩壊」「死と密室」
名探偵と女助手のシリーズ.
名探偵というよりは超探偵という感じなのだが,よく分からないうちに終わってしまった.雰囲気を楽しむ作品?

・「白い朝」
そのまま教科書に載せてもおかしくないような,きれいな話.
出てくる少年が後の円紫師匠だったりするのだろうか?

・「サイコロ、コロコロ」「おにぎり、ぎりぎり」
同じ主人公のシリーズ.
ちょっとコミカルな日常の謎系の話で,いかにも北村薫っぽい作品.

・「蝶」
地の文なしで,会話文のみで構成された作品.
ミステリ要素はまったくないけど,雰囲気は良かった.

・「俺の席」
「日常」とは何だろう?と考えさせる話で,「白い朝」とはちょっと違った意味で教科書に載せておかしくない話だと思ったら...
うーん,ちょっと教科書には載せられないか.

・「新釈おとぎばなし」
前半は「何なんだ,コレは?」と思っていたのだが,後半(というか本編)の「カチカチ山」が始まってからはめちゃくちゃ面白かった.
このハードボイルドなウサギの話,シリーズとかにならないかなあ.