「磯部」は亡き妻の生まれ変わりを探すため,
「美津子」はかつて自分が誘惑した神学生を訪ねるため,
「沼田」は自分を救ってくれた鳥たちへの恩返しのため,
「木口」は戦争中に自分を救ってくれた戦友の供養のため,
彼らはそれぞれの理由で同じツアーのメンバーとなり,母なる河ガンジスのほとり,ヴァーラーナスィへ...
某教員の奥様に貸してもらった本.
読書量はそれなりにあるのに,いわゆる有名文学作品を読んだことがない私にとって初めての遠藤周作作品.
ちょっとハードルが高いかなあ,と思いつつ読んでみたところ,それぞれの登場人物の物語が最終的に一つに結びついていくという,私好みのタイプ(=グランドホテル形式)だったので,想像以上に読みやすかった.
のだが...
ラストで盛り上がってきて,ページをめくったところ,
えっ,乱丁?
と数秒間フリーズしてしまった.
どうしていきなり解説が始まってるんだ?
えっ,さっきのページの,あれが最後なの?!
まあ,あれで最後だというなら,それはそれで納得できなくはないけど...
それって...
なんというか...
宗教には客観的な救いは存在しない
ってことなのかなあ.
まあ,そもそも宗教の多くは現世利益を目標とするものではないし,奇跡がガンガン顕現するような世界だと『あなたの人生の物語』の「地獄とは神の不在なり」みたいなことになってしまうし.
でも,
なんというか,
うーん...
ともかく,現在の私は,インドに行ってガンジス河で沐浴するほど,深いものは背負ってないんだろうなあ,ということは実感できた.