2007年04月18日

『誰の死体?』ドロシー・L・セイヤーズ

[ Book]

資産家の名門貴族の次男坊である「ピーター・ウィムジィ卿」の趣味は初刊本蒐集と犯罪捜査.
知人宅で発見された正体不明の死体と行方不明になった財界の大物という二つの謎を解くため,有能な執事「バンター」とスコットランド・ヤードの警察官「パーカー」とともに捜査に乗り出す...

松山市立中央図書館所蔵.
1920年代に発表された作品で,著者のセイヤーズは「クリスティと並ぶミステリの女王」(背表紙の紹介より)であり,英語圏ではかなり人気があるらしいのだが,そのわりには名前を聞いたことがなかったような.
そもそも読んでみようと思ったのは,『犬は勘定にはいりません』の解説で紹介されていたため.

主人公たちが貴族のお坊ちゃんと有能な執事というのは,これまた『犬は勘定にはいりません』で紹介されていた,ジーヴス・シリーズと同じなのだが,ジーヴスがコメディだったのにたいして,このピーター卿シリーズは本格ミステリ.
また,ジーヴスにおける主人の「バーティー」が少々間抜けだったのに対して,本作の主人公であるピーター卿は,ちょっと調子が良すぎるところがあるものの,非常に有能.色々な知識を活用しながら立て板に水の弁舌で話をひっぱっていくというのも対照的.

実は,その立て板に水っぷりと主人公があまりにも恵まれすぎていることにたいして,読んでいて少々疲れてしまった.
ちょっとしんどいなあ,と思いつつ,だいたい半分くらいまで読み進んだ頃,事情が一変.後半は一気に読み切ってしまった.

しかし,この作品,その真価を発揮するのは実は5巻目以降かららしい.
うーん,早く続きを読んで,5巻目までたどり着かないと.