2007年07月21日

『スロウハイツの神様 上下』辻村深月

[ Book]

売れっ子脚本家「赤羽環」が大家であるスロウハイツには,彼女の友人でありクリエイターの卵である「狩野壮太」「長野正義」「森永すみれ」,そして若者に絶大な人気を誇る小説家「チヨダ・コーキ」らが幸せに暮らしていた.
しかし,彼らを巡る状況は徐々に変化していき,ある日,新たな入居者が現れて...

現時点での辻村深月の最新作になるのかな.三津浜図書館所蔵.

あいかわらず微妙に痛い登場人物が多かったりするのだが,それはクリエイターという職業ゆえか.

作中に出てくる作品がそれほど面白くなかったり,最後の方のエピソードの一つが某マンガによく似ていたり,ちょっと長かったり,と欠点も色々ある.

色々あるんだが,すべては帳消しにされるくらい最終章が良かった.
読みながらずっとニタニタ笑っていて,あるシーンでは...

本筋に関係の薄いエピソードをもうちょっと削って,1巻に収めることができれば,もっと完成度の高い話になったと思うけど,最終章を読む資格を得るためだけでも2巻分読む価値はあるかな.