2007年02月09日

『幻夜』東野圭吾

[ Book]

阪神大震災の朝,「水原雅也」は借金のあった叔父を殺すが,その現場を「新海美冬」に目撃されてしまう.
しかし,美冬は雅也のことを警察に通報するどころか,雅也を守るような行動を取る.天涯孤独となった二人は共に東京に出て...

ドラマ化もされた,『白夜行』の続編であるとも続編でないとも言われている作品.
単独で読んでも通用するという点では続編ではないのかもしれないが,やっぱり続編だろう,これは.

基本的な話の構造は『白夜行』と同じで,ヒロインが成り上がるのを陰で支える男性の話.
しかし,『白夜行』では男性の行動が自発的に思えたのが,本作ではヒロインに操られていることが明らか.
このあたりで評価が分かれるようで,一つは,『白夜行』のラストの結果がヒロインを変えてしまった説で,もう一つは,実は『白夜行』でもヒロインが男性を操っていた説.個人的には前者だと思うのだが...

『白夜行』に比べると,なんだか下世話というか,犯行に直接関与していることが明白であり,想像の余地がないというか,そのまんまなので,個人的には『白夜行』の方が圧倒的に評価が高い.

しかし,『白夜行』でもラストの解釈が分かれていたが,本作もそれは同じ.
雅也はああなることを知っていたのか?
知らなかったのだとしたら,あれは偶然なのか?
美冬の最後の行動からすると...