2007年05月17日

『高学歴男性におくる弱腰矯正読本』須原一秀

[ Book]

以前読んだ『超越錯覚』と同じ著者による本で,副題は「男の解放と変性意識」.
『超越錯覚』の感想を書くときに検索してみると,こちらの本の方が取り上げられることが多い感じ.まあ,刺激的なタイトルだからな.

近場の図書館にあるかどうか検索してみたところ,元・中島町の図書館と松山大学の図書館に所蔵されていた.松山大学はともかく,どうして中島町に?
ということで,松山市立中央図書館経由で取り寄せてもらった.

内容の方だが,『超越錯覚』で出てきた感覚変容状態を「変性意識」と捉えなおし,この変性意識状態では世界の価値や意味(美しさとか強さとか怖さとか)を見いだしやすくなるとしている.
しかし,この変性意識状態に入るためには,自己防衛意識が邪魔をするため,物知りで頭でっかちな高学歴男性はなかなか変性意識状態になれず,世界や人生の価値や意味を見いだせない.そのため,イライラしたり,充実感を得られなかったりする,というのがベースの主張.

なので,イライラの解消や充実感を得るためには,変性意識状態になれば良いわけだ.
そのためにやるべきことが色々と書かれているのだが,弱現実主義,つまり,先のこと(その行為が将来にもたらす利得)を考えないで,強現実主義,つまり,今を楽しむ(その行為自体が報酬)ように生きていこうということらしい.
まあ,そこに行き着くまでに,宗教やら右翼やら『葉隠』やら色々なものが出てくるのだが,最終的な結論はこんな感じだろう.
ああ,もう一つ,それほど真剣に考えずに,適当に横着に生きましょうというのも結論か.

最後まで読んで思ったのが,宮台真司の「意味と強度」のこと.
強現実主義というのが強度志向なのは確実なんだけど,じゃあ,その反対概念である弱現実主義は意味志向なのかというと,ちょっと違っている.意味志向も強現実主義に含まれている感じだよなあ.
うーん,元々の本を読んでないからよく分からないや.やっぱり宮台真司の本を読んでおくべきなのかなあ.