宮部みゆきの本はそれなりに読んできたが(チェックしてみたら8冊くらいかな),これまで読んだものの中では本作がダントツでよくできている.いや,よくできているというよりも凄いと言う方が適切かもしれない.
10年以上前の作品なのだが,今になって読んでみようと思ったのは,どこかのウェブで「宮部みゆきの『火車』を教科書に使うべきだ」ということが書かれていたから.
「自己破産の事実がばれたために婚約者の前から姿を消した女性を探す」という話だということは読む前から知っていたし,そのウェブもそういう文脈でとりあげていたので,借金関係の話だとは分かっていた.
しかし,そういうことは置いておいても凄い作品だった.特にヒロイン(?)が調べものをする場面などは昼間に読んでいたのにゾクゾクしてしまった.
# 本当は今日は部屋の掃除をしようと思っていたのだが,読み始めてしまったのが運の尽き.読み終えるまで止まらなくなってしまい,掃除は結局できなかった.
カゴメから株主優待商品が届いた.
カゴメの株を買ったのは,もちろん株主優待が魅力的ということもあるが,IR(投資家情報活動)に熱心な会社であることも大きかった.毎回ちゃんとしたパンフレットを送ってくれ,それについてのアンケートなども実施している.
株主総会以外にも株主懇親会を実施していたりして,個人投資家を重視しているということがよく分かる.
ちなみに今回の優待商品はどれもおいしそうなのだが,特にケチャップの「芳潤」というのが気になる.しかし,まだ自宅にケチャップは残ってるので,食べるのはまだまだ先になりそうだ.
80年代と90年代のベストセラー作家8人がどのように評価されたか,それはどういう時代背景のためか,についての本.
まえがきには「『作家論』というよりは『作家論論』だ」とあり,帯には「同時代論」とあることからも分かるように,単なる作家評論ではない.
作者は『趣味は読書。』の作者だが,それほど毒舌ではなかったかな.
ちなみにとりあげられている作家は以下のとおり(カッコ内は既読冊数).
村上春樹(3か4)
俵万智(0)
吉本ばなな(2)
林真理子(2)
上野千鶴子(1)
立花隆(0)
村上龍(0)
田中康夫(0)
やっぱりベストセラー本はあまり読んでないなあ.しかも林真理子の2冊のうちの1冊以外はこの1年くらいで読んだものばかりだし...
マイクロソフトでは就職面接の際に難問(いわゆる論理パズル)に答えられることが求められるそうだ.成功しているマイクロソフトが採用している面接方法だからということで,他の会社でも同様の面接試験を行われているらしい.
この本はそういうパズル式面接が本当に有効なのかどうかについて論じた本なのだが,中身はそんなに堅苦しくない.たくさんの論理パズルとそれについての解説が掲載されているので,パズル集として読むこともできる.
面白かった点・気になった点
1.二秒面接(P.27-32)
アメリカの授業評価についての実験では,その教員の2秒間のVTRを見ただけの場合の評価と,1学期間継続して授業を受けた場合の評価に有意な差がなかったという結果が出ている.
この場合に考えられる仮説は2つ.
第一の仮説は,人は2秒間であった相手の本質(というのは言い過ぎか)を判断できるというもの.つまり,2秒間見ただけで正しい判断ができるというわけだ.
第二の仮説は,人は2秒間で相手の印象を決定してしまい,それは変化しないというもの.つまり,2秒間見ただけで判断を終了してしまうわけだ,それが正しい判断であろうがなかろうが.
前者なら良いのだが,後者の場合,第一印象が悪い人は人生で凄まじく損をすることになるなあ...
2.未確定部分と選言(P.127-132)
アルファベットと数字が裏表に印刷されたカードをめくって云々という実験,ウェイソン選択課題というらしい.
『ケータイを持ったサル』でも使われていたのだが,難易度の位置づけがかなり違っているような気がする.『ケータイを持ったサル』では社会的賢さの測定のために使われており,若者ならばかなりの確率で正解するような書き方がされていたが,こちらでは正答率は良くて20%だという.この違いはいったい...
3.パラダイムとパズル(P.189-191)
最後の部分が気にいったので引用しておく.
パズル面接は,この不確実性(絶望?)の風土の,いちばん見やすい反映だ.雇用する側は,今,言葉にならないものを探している.それはまさに,知能ではない.自信とやる気がそこに入る.不確実性を受け入れ,前提を疑い,事業を完成に導く能力といえばいいだろうか.批判的な判断という強い要素もある.「前提を疑う」とは,どの前提を,いつ疑うか,そのこつがわかっていなければ,IBMの「考えよ」という合言葉と同様,陳腐な言い回しだ.才能のある人が,そういうことをかくもうまくやれる事情を,実は誰もわかっていない.われわれには,まだしばらくは,間に合わせの評価法しかない.「これから行く先は枝分かれしています.でも,本当のことしか言わなかったり,嘘しか言わなかったりして方向を教えてくれるような,助けになる人はひとりもいません.さて,自分の進路をどう見つけますか?」
以前から乙一の作品は読んでおり,本作もずっと探していたが,なかなか見つからずに今まで読めずじまいだった.ようやく文庫化されたので早速購入.
しかし,この前に読んだ短編集『ZOO』が全体的にスプラッタ and/or ダークな内容で個人的には趣味ではなかったため(『陽だまりの詩(シ)』を除く.これは感動の名作!),同系統(いわゆる黒乙一)な本作もどうなんだろうと思っていた.
冒頭の童話(女の子のためにカラスが眼球を集める)を読んだときにはどうしようかと思ったが,がんばって読み続ける.メインの眼球を移植された女子高生の話はいいとして,その次の童話作家の話に至っては...スプラッタにしてダーク.基本的に怖いのが苦手な人間が夜中に読むべき話じゃないよなあと思いつつ,ときどき出てくる暖かさに救われながら読み進めていく.
最終的な感想としては,個人的にはキビシイ箇所がところどころにあるものの,読後感は意外なほど爽やか.そういえば,『ZOO』にあったチェーンソーで人が切り刻まれる話も読んでる最中はきつかったがラストはなんだか爽やかだった.このあたりは「切なさの達人」とも呼ばれる乙一ならではというところか.
ちなみに,巻末の「文庫版あとがき」は本編とはまったくイメージが違っており,新作がなかなかでない乙一の現在の状況を知っているとかなり笑える.
というわけで,そろそろ新作を出してくれませんかね,タカシに負けないためにも(笑).
遠隔授業の実験の一環として,他大学との間でTV会議システムを使って会議をするというので,それを見学させてもらった.
ネットワーク周りの問題のため,通話ができるようになるまでに時間がかかり,会議を行うことは結局できなかったのだが,思っていたよりも音質はクリアだった.
その逆に画質についてはイマイチ感が漂っていたが,これは機材の設定で修正可能なのかもしれないし,私が画面を近くで見ていたために粗が目立っただけなのかもしれない.機材をまだ十分に使いこなせてないなあというのが正直なところだった.
深夜放送で『ノブナガ』という番組がある.松山で見れるようになったのはこの4月からだと思うのだが,時々見ている.
で,その番組の人気コーナーに「地名しりとり」がある.概要は以下のとおり.
で,そういう土地の一つが松山.
パーソナリティ(旅人?)のワッキーは10回近く松山を訪れており,そのたびにJR松山駅のじゃこ天売り場でじゃこ天を食べているそうだ.
で,そこで登場するのが売店のおばちゃん(=じゃこ天おばちゃん).
ワッキーと仲良くなったじゃこ天おばちゃんとJR松山駅の売店は,『ノブナガ』視聴者には有名な存在となり,いつしかじゃこ天おばちゃんに会うために多くのファンが松山にやって来るようになった.
売店を訪れてくれた『ノブナガ』ファンのために,じゃこ天おばちゃんは「ワッキーノート」なるものを用意して,ワッキーが今度松山に来たときのためにメッセージを残してもらうようになった.メッセージの数はうろ覚えだが800とか言っていたような気がする.
ということは,あのじゃこ天おばちゃんのおかげで松山を訪れる人が800人は確実に増えているわけだ.実際には一人で来る人は少数派だろうから2000人近くは増えているはず.
しかも,じゃこ天おばちゃんのおかげで,『ノブナガ』ファンにとっての松山のイメージは非常に良いものになっていることだろう.
松山市(あるいはJR四国)から表彰されてもいいかもしれない.
ということで,近いうちにJR松山駅までじゃこ天おばちゃんに会いに行くつもりだ.
情報リテラシーで情報化と経営についての講義をしなくてはいけないので,そのネタ本にでもなるかと思って読んでみた.
これは岩波書店の新書なのだが,同じ新書でもジュニア新書.ジュニア新書というだけで大学生は読もうとしないかもしれないが,ジュニア新書が想定している読者は「人生の出発点」に立っている「若い世代」だそうなので,別に大学生が読んでもおかしくはない.大学生協に並んでたのがその証拠(なのか?).
肝心の中身だが,これが結構良くまとまっている.情報理論から始まってコンピュータの原理,インターネットの基礎知識といった工学的なところから,社会とマスメディアの関係やナチスの情報操作,企業における情報システムの役割といった社会科学的なものまで,幅広い内容を扱っている.
情報技術や情報化をある程度勉強した人にとっては既に知っていることも多々あるだろうが,初学者が幅広い知識を得るにはちょうどいいのではないだろうか.著作権や個人情報保護といった法律関連まで押さえてあればもっと良かったのだろうが,そこまで望むのは贅沢か.
で,本来の目的である講義のネタ本になったかというと,ちょっと微妙.本の内容がどうこうというよりも,講義のテーマがまだ絞りきれていないというのが最大のネックだよなあ...
『初恋』というタイトルだと何をトチ狂ったのかと思われそうなので,いちおう正式タイトルで.
『グインサーガ』という超長編小説(現在本編で94巻,外伝を含めると100巻以上)があるのだが,この本はその外伝で,とある登場人物(絶世の美男で王子様)の若き日を描いた作品.
新刊案内でタイトルを見たときはどうしたものかと途方に暮れたものだが,中身はちゃんと面白かった.
でも,この面白さを分かってもらうためには,世界観や設定,さらには主人公の性格など理解する必要があり,そのためには本編を読まなくてはならない.しかし,その本編が90巻以上...
しかも本編が90巻以上ともなると,書いてる途中で文体は変わるわ,物語の性質は変わるわ(ファンタジーだったり,宮廷物だったり,戦争物だったり,SFだったり,恋愛物だったりする)で,なかなか人に勧めにくい.
で,登場人物の一人であるエライ学者さんのお言葉.
「女人への崇拝というのは,おおむねの男子の場合にはまず,『おのれにはありえない,すべすべして美しくてやわらかくて白くて優しいもの』への崇拝として発動するのですが...」
うーん,崇拝とか恋心というのは『発動』するものなのか...
うちの近所のスーパーでは時々ドリアンが売られている.
基本的に箱に入っているので,あの悪名高きドリアンの香りを嗅ぐことはなかった.
しかし,先日はその箱が開けられた状態で売られていたので,ちょうど良い機会とばかりに嗅いでみた.
ウワサに違わず臭かった.
以前,ある方が計略にはめられてドリアン飴を食べさせられている現場に遭遇したことがあるのだが,あの臭いからすると,確かにキビシイものがあったのだと今さらながらに実感した.
その次の日,問題のドリアンは四等分されてパックに詰められて売られていた.
確かに丸ごと買うのは勇気と経済力が要求されるので,バラ売りするのは合理的な販売方法であろう.
しかし,あの芳しきドリアンを,誰がどこで加工したんだろうか.やっぱり店の人がバックヤードで包丁をふるったんだろうか...
やはり労働とは大変なものだと実感した夕べであった.
関係しているサークルの新入生歓迎会(新歓)があったので,参加してきた.
単に飲んだり食べたりというだけではなく,新入生&上回生の自己紹介をパワーポイントを使っておこなうというのが,IT系サークルっぽいところ.
新入生は今までの人生でパワーポイントを使ったことはおそらくなかっただろうから,パワーポイントを使ってのプレゼンテーションは今回が初めての経験だったと思う.中には凝ったことをしている人もいたが,全体的にはそれなりのプレゼンテーションだった.欲を言えばもう少し自己アピールがほしいところだった.
それよりも感心したのが上回生のプレゼンテーション.パワーポイントのスライド自体はそれほど凝ったことをしておらず,中には去年のものを少し書き換えただけの人もいたが,去年に比べると上手になっていると思える人が多かった.
このサークルは外部の人や大多数の人の前で話をする機会が他のサークルに比べると多いと思うが,やはりそういう経験が効いているのだろうか,やっぱり話し方が堂々としていたのが,上手に思えた理由だろう.
まあ,聞いている人がみんな知り合いということも大きいのだろうが,知らない人の前でもあれくらい堂々と話せるようになれれば,就職などでも大きな武器になると思う.
そのためには,場数を踏んで経験を積むしかないんだろうなあ,やっぱり.
原題はThe Effective Executiveで,直訳だと「効果的な経営者」?
このタイトルだけで判断すると経営者志望の人以外にはまったく関係がないと思うかもしれないが,全然そんなことはない.組織に関わって何かをやっている or やろうとする人,つまり現代人であれば誰が読んでも役に立つんじゃないだろうか.
この本でいうExecutiveというのは「物事を成すべき地位にある人」のことだが,組織における知識労働者だったら誰でもExecutiveだとも言っている.程度の差こそあれ,今の世の中ではほとんどの人がこの条件に当てはまっていると思う.
で,この本は「業績をあげるために自らをマネジメントする方法」について書かれている.「業績をあげる」というとビジネス的なことのように感じるかもしれないが,物事を成し遂げること,単にやるだけでなく目的とする成果をあげることと翻訳すると,この本の内容が全ての現代人にとって役立ちそうなことが分かると思う.
具体的には,成果をあげるための方法として「自分の時間の使われ方を知る」「外部の世界に対する貢献に焦点を当てる」「強みを基準に据える」「最も重要なことから始める」「成果をあげるように意思決定を行う」の5つを挙げている.
どれもよく言われていることだと思うかもしれないが,この本の初版は1966年.40年近く前から私たちは変わっていないのか,それとも40年近く前からこういうことに気がついていたドラッカーが凄いのか...
ということで,書かれている内容自体はありふれているかもしれないが,時間があればぜひ読んでほしい.内容自体も参考になると思うが,使われている表現やエピソードが面白いのだ.
ちなみに一番気に入った表現は「冷凍した鯖のように冷たい人」
小坂にあるエスパス21に行ってきた.エスパス21は美術館というほど大きくはないが,色々な企画展で美術作品を展示しているところだ.
以前,『ユーモア路上観察展』というのがあって,それで存在を知ったのだが,基本的には入場は無料らしく,今回の企画展も無料だった(音楽ホールも併設しており,そちらのイベントは入場料がいることが多いようだ).
今回の企画展は『松本尚士ペーパーカッティング展』ということで,色紙などを切り抜いて貼り付けた作品が100点ほど展示してあった.私は写実的な美術作品よりもこういう感じの方(抽象的というのだろうか)が好きなので,今回のも楽しめた.
また,展示を見ながら色々と思いついたこともあったので,ヒマを見繕って色々試してみよう.
今回の展示で気が付いたのだが,私はどうやらこの手の作品を見るときに,作者が何を考えてそれをそういう風に作ったのか,それに対して自分のイメージではどうなるのか,というように見ているらしい.
こういう見方をする場合,作品名というのは作者の考えが現れているものなので,非常に良い手がかりになる.
しかし,前回の展示と違い,今回の展示には作品名がついてなかった.きっと元々作品名は付いてなかったのだと思うのだが,このため,見てる途中までは不完全燃焼のような感覚があった.その違和感について考えていて,先ほどのような結論に達したわけだ.もっと自分の想像力が豊かならば,作品名がなくても十分楽しめるのだろう.
ちなみにペーパーカッティング展は5/5までだが,作品集が市販されているらしいし,ホームページもあるので,興味のある方は探してみてはどうだろうか.
かなりの確率で食べ物屋のことを書いている気がするが,日々の生活でそれほど劇的なことが起きるわけもないので,毎日発生している食事のことが多くなるのは当然のことのような気がする.
昼ご飯のために車を出してもらって,立花のストロベリーキャンドルまで行ってきた.実は以前一度行ったことがあるのだが,その時は満席で入れなかったのだ.ということでリベンジ.
今回はなんとか入れたが,あっという間に満席になったところからすると,やはり人気があるのだろう.
オムライスがおいしいという話だったので,私はオムライスを注文.
同行者は日替わりランチ(豚ロースカツのサラダ仕立て)と本日のドリア(シーフード?)を注文し,お互いに少しづつ食べてみた.どれも美味.
しかも安かった.オムライスはサラダ付きで780円,ランチも同額でドリアは730円くらい.
ランチだけでなく,夜のメニューもお手頃な値段で,数量限定のコースだと1500円でデザートまで食べれるらしい.
近いうちに再び来ることを心に誓いつつ,店を後にするのであった.
今度はビーフシチューかハンバーグを食べよう.